
「On The DL」はこれまでに訪れたビアコミュニティについて語るブログです。様々な州や町、ブリュワリーや地域で見聞きしたことをシェアしていきたいと思っています。「On The DL B-side」では「On The DL」の記事をなぞりつつ、直訳ではないちょっと別の視点から日本語で語ります。
今回のテーマ、トロントへは義弟が単身赴任で駐在したのをきっかけに行ってみたいと思っていました。とてつもなく寒そうな真冬を避け、かつNBAの試合観戦ができそうな時期を見計らって我々は2018年の秋にトロントへと向かいました。義弟はトロントのダウンタウンにある高層マンションに住んでいて、トロント・ラプターズ(NBA)のホームアリーナやブルージェイズ(MLB)の球場へも徒歩で行ける距離です。トロントの町を見渡すことができるCNタワーへも、もちろん徒歩で行くことができました。
CNタワー オンタリオ湖が広がる 真下を見るのはちょと怖い…
ビール業界で働く義弟がトロントでまず連れて行ってくれたのはCNタワーのすぐ側にあるSteam Whistle Brewing。勤め先のマイクロブリュワリーが大手企業に買収され、クビになった3人が “Three Fired Guys” と自称して始めたブリュワリー。今ではカナダでもトップのインディペンデント・ブリュワリーに成長し、2019年にペールエールを発売するまではピルスナー一本で勝負をしてきました。ちょうどブリュワリーの見学ツアー(有料)が始まるタイミングで着いたので急遽参加しましたが、ブリュワリーや建物の歴史(元は列車の整備場)に加えて、最後は自慢のピルスナーを開けることもできてお勧めです。今度はぜひペールエールも飲んでみたいところです。
トロントに行く前から噂に聞いていたGodspeed Breweryは少ない日程の中でも絶対に外せないブリュワリーで、意気込んで開店前に着いてしまうほどでした。ビールメニューを見ると「お疲れさま」「飲兵衛」「お茶目」など日本語の名前のビールが並びます。柚子やすだちを使ったセゾン、緑茶のIPAなど和風のフレーバーもあれば、ドルトムンダーやデュンケルヴァイツェン、メルツェンなど、ドイツスタイルのビールも。日本の居酒屋風の食事メニューも嬉しい。実はオーナー兼ヘッドブリュワーのLuc Lafontaineさんは日本のビール好きにはおなじみのうしとらブルワリーを立ち上げた初代醸造長。後にトロントへ移り2017年にGodspeedを開きました。日本との繋がりが深いだけに、日本のビアバーで飲めることもそれなりにあるようです。今のところロサンゼルスで見かけることはないのが残念です。
トロント周辺のグーグルマップとYelpを交互に見ながら次に決めた行き先はトロント市街の北西にあるThe Junctionというネイバーフッド。元々は工業地帯で鉄道会社があったエリアで、当時は飲み屋が労働者で賑わっていたものの彼らの素行が近所の住民に問題視され、1904年からなんと1998年までアルコールの販売が禁止されていたそうです。今ではバーやブリュワリー、レストランなどが増えています。
まず一軒めに行ったJunction Craft BrewingはThe Junctionの歴史を感じるインダストリアルな建物にブリュワリー兼タップルームを構えています。飲みやすいビールが揃ったタップルームは内装も鉄道やJunctionのネイバーフッドがテーマ。缶ビールの持ち帰りもできるようになっています。
次はJunction Craft Brewingの裏にあるRainhard Brewing Co. へ。こちらはいかにもブリュワリーらしい雰囲気で、ピンボールで遊びつつ奥にあるブリュータンクを見ながらピクニックテーブルやバーでビールが飲めます。入り口付近の壁に飾ってあったコアビールのアートはRainhardのイメージに合ってなかなか厳つい感じですが、子供や犬連れの人たちもいてのんびりとビールを楽しむことができました。
Rainhard Brewing Co. のすぐ隣にあるShacklands BrewingはこのJunctionエリアで行った中でも一際ユニークなブリュワリーでした。前述の二軒に比べるとだいぶこぢんまりとしていて、一見ガラクタのような昔懐かしのおもちゃやダイヤル式の電話やフィルムカメラ、その他電気機器などが所狭しと並ぶバーエリアの奥にブリュータンクが設置されています。置いてある古い雑誌をめくりながら、まるでゾンビ映画のシェルターみたいだね、と妙に心地よい空間を楽しみました。Shacklandsはベルギースタイルやセゾン、ファームハウスエールといったビールを主に醸造していて、ファンキーなビールを飲みながら延々と店内のあらゆるガラクタを眺めることができそうです(「ファンキー」なビールの解説についてはこちらが参考になるかもしれません)。ちなみにオーナーの一人は映画業界で照明をやっていたそうで、この“Shelf of Everything” も彼によるキュレーションだそうです。
移民も多くたくさんのカルチャーが混ざり合う町。ダウンタウンは想像以上に高層ビルが立ち並び、市街を離れると自然も遠くない。二泊という短い滞在だったので、ぜひまた訪れてさらに深くトロントを体験したいと思いました。
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